Q1.自分で登記することはできますか?
A.ご自身で登記をしていただくことは可能です。>こちらをご参考ください。ただし、登記手続きをよく理解しないまま申請をされますと、一度で登記を完了することができず、
法務局へ何度も足を運ぶことになることがあります。
法務局で、登記の相談を受け付けていることもありますが、
登記の相談に対応する相談員は、実際に登記を審査する専門の職員(登記官)ではなく、また、司法書士にご相談をされる場合とは異なり、役所という立場から
個別具体的な事情について相談に応ずることはできないため、
100%のサポートや保証は受けられません。
また、ご自身で登記を申請されますと、
本来すべきはずの登記とは異なる登記(間違った登記)がされてしまい、後日、トラブルが発生する可能性があります。
以上のことを十分に踏まえた上で、ご検討されるようお勧めいたします。
Q3.登記は申請しなければなりませんか?
A.不動産の権利に関する登記に、申請の義務はありません(相続登記を除く)。ただし、その他の登記については、申請の義務があるものもあります。登記には、主に次の種類があります。
①不動産の権利に関する登記(誰が所有者なのか等)②不動産の現況に関する登記(どういう土地や建物なのか等)③会社(法人)に関する登記(どういう会社なのか等)このうち、
①に関する登記には申請の義務はありません(相続登記を除く)が、
②③の登記については、原則として申請の義務があります。
①の申請義務がないのは、
権利について保護を受けるかどうかの判断は、個人の自由だからです。
たとえば、売主が土地を売れば、登記をしなくても、法律上の所有者は買主です。
登記をしなければ所有権を取得できないわけではありません。
※ただ、その権利は目に見えないことから、その権利を保護する手段として、国の運営による登記制度が用意されているわけです。
そんな中で、
相続登記が義務化された背景には、登記名義人がすでに死亡しているにも関わらず、相続登記がなされずに長期間放置され、相続人(=現在の所有者)が誰であるか確認することが困難となった結果、
土地の適正な利用や災害時の復興事業等に支障を来しているといった事情あります。
※…ただし、登記をしないまま、元の所有者が、他の誰かにその土地を売る契約をしてしまい、その登記がされた場合は、本来の所有者である買主は、裁判で勝たない限り、自分の所有権を主張することができなくなります。
【重要】・令和8年4月までに、「住所・氏名変更登記」が義務化される予定です。
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Q4.登記の手続きに期限はありますか?
A.不動産の権利に関する登記の申請(相続登記を除く)については、特に期限はございません(上記Q3の②③の登記は申請期限がございます)。
相続に関するお手続きの中で、期限のある主なお手続きは次のとおりです。
【相続に関する主なお手続きの期限】
「相続登記」重要
自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をしなければならない(不動産登記法76条の2)。
「相続の放棄・限定承認」
相続の開始を知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述しなければならない(民法915条、924条、938条)。
「相続税の申告(相続税が発生する場合)」
相続の開始を知った時の翌日から10ヶ月以内に、税務署に申告しなければならない(相続税法27条)。
「準確定申告(被相続人が確定申告の対象者だった場合)」
相続の開始を知った時の翌日から4ヶ月以内に、税務署に申告しなければならない(所得税法124条)。
Q5.自分のことなのに、登記をするのはどうしてこんなに面倒なんですか?
A.登記制度を信頼できる制度として維持するためです。
登記をご自身で申請されようとする方にとっては、「何でこんなに細かくて面倒なのか?」と疑問に思うこともあるようです。
中には、「司法書士の利権を守るためだ」などと穿った見方をする方もいらっしゃいます。
登記制度の根本は、目に見えない権利等を視覚化し、取引の安全を図ることにあります。
「この土地の所有者は誰なのか?」「この会社は、本当に存在する会社なのか?」など、他人の目から認識することは物理的に不可能なものを、国が運営する登記制度によって、他人にも視覚的に認識できるようにしているわけです。
もし、登記制度がなかったとしたら、誰もが安全に取引をすることはできなくなるでしょう。
では、その登記が、たとえば何の知識もない当事者が法務局へ行って、口頭あるいは申請書1枚だけで「こういう登記をしてくれ」と言って、その通りに登記ができるとしたらどうでしょう?
果たして、その登記を手放しで信用することはできるでしょうか?※
現在の登記制度は、時代の変化に合わせつつ、むしろ、その信頼を維持するために必要な範囲内で合理化や簡素化がされてきたものであって、決して、素人の方に分からないよう、わざと複雑にさせてきたものではないのです。
司法書士の役割は、依頼者の方の権利を守ることのみならず、専門的かつ第三者的立場から、実体(実情)に即した正確な登記をすることで、登記制度の信頼を維持することにあると思われます。
※法務局が当事者に積極的に介入して、当事者の求める登記を誘導する方法も考えられますが、万が一問題が発生した場合、責任の所在が曖昧になる等のリスクがあることから、実際は難しいと思われます。また、一人一人にいちいち事情を聴かなければならず、登記申請の数から考えると、職員のマンパワー的にも不可能に近いと思われます。
Q6.司法書士と行政書士(司法書士と弁護士)は何が違うのですか?
A.司法書士は「登記手続き」を中心とした裁判関係業務の専門家です。
とは言っても、その業務内容を一般の方にご説明するのは難しいものがあります。
司法書士の業務と似た業務を扱う資格者として、弁護士や行政書士が存在するためです。
しかも、単に似ているというだけでなく、実際に業務が重なる(同じ)部分があるため、なおさら一般の方には、業務の内容が理解しにくくなっています。
端的に申し上げれば、司法書士は、弁護士が行う業務の一部を担います。
ですので、弁護士は、司法書士の業務に関しては、基本的にすべて行うことができます。
ただ、弁護士に依頼すると、一般的には報酬が割高になるので、司法書士が行える業務(特に登記)に関しては、司法書士に依頼した方が費用は安くなります。
一方、行政書士は、官公署の許認可業務に関する専門家です。
開業する際に必要な許認可の申請、外国人の在留資格、農地を取引する際の農業委員会の許可申請等が主な業務になります。
ただし、官公署の中でも、裁判所・検察庁・法務局(=弁護士、司法書士)、税務署(=税理士)、年金事務所・労働局・ハローワーク(=社会保険労務士)の業務に関しては行うことができません(一部例外を除く)。
では、なぜ相続手続に関する業務を取り扱っている行政書士が多く存在するのかと言うと、行政書士のもう一つの業務に「権利義務に関する書類」を作成することが含まれているためです。
この書類には、相続手続に際して作成する「遺産分割協議書」等も含まれることから、許認可申請よりも、相続をメインに扱う行政書士が多く存在するのです。
ただし、遺産の中に不動産が含まれる場合の名義変更手続き(相続登記)は法務局、相続の放棄や相続財産清算人等の選任申立て等の手続きは裁判所における手続きであるため、行政書士ではなく、司法書士(又は弁護士)の業務になりますので、注意が必要です。
「相続登記」や「相続の放棄」等を含む裁判所での手続きに関しましては、初めから司法書士へご相談されることをお勧めします。
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